相談例(3)
82才の母ですが、かかりつけのお医者さんに10年前から心臓の
雑音を指摘され「心臓の弁が悪いからいずれ手術が必要になると思い
ます」と言われてずうっとかかってきました。
最近、家事をしていると突然心臓がドキドキしたり、夜中に突然咳
込んで横になっているのが苦しくなるという症状が出てきたのでお医
者さんに、
「手術が必要になったのでしょうか?」と尋ねると、
「もう80才を過ぎているのだし、手術などしないでこのまま天寿を
全うしたらいいんじゃないですか」と言われて愕然としました。
「手術はどうしてもできないんですか」
と詰め寄ると
「こんな年寄りを手術する病院なんてありませんよ!」
と言い捨てられました。
あきれてそれ以上は何も言えませんでした。
母は一日中座っている生活になっています。
どうしたらいいでしょうか。
(回答) 回答者:南渕 明宏
10年前から病気がわかっていたのですから惜しいチャンスを逃した
ようです。治療は早いほうが安全で確実で効果的ですから。
お話からすると僧帽弁の閉鎖不全で心不全が進んで肺鬱血(肺に血液
が停滞する状態)の状態で、起座呼吸という症状が出ているようです
不整脈も頻繁に出現しているようです。
僧帽弁の逆流を手術で治してしまえば改善が期待できます。
「診察してみないと何とも言えませんが」というのがこんな場合の
医者の常套句ですが、私はそうは言いません。
お母さんの場合、今すぐ手術をすれば必ず大きな改善があるはずです
手遅れの状態とは、もう本当にだれが見ても「もうこれはここ数日で
危ないんじゃないか」という状態です。食事も取れず、立てない、
おしっこも出なくなった、などといった心不全末期の状態です。
ところで「もう年だから」などと言う話をよく聞きますが、年齢によ
る影響は個人差が大きいので、年齢だけから手術ができない、と判断
する医者はどこにもいないはずです。
年齢はともかく、本人に治療の意思が全くなかったり、非常に悲観的
でふさぎ込んでしまうような方であるなどすると、年齢が仮に50才で
あっても手術は受けるべきではないかも知れません。
不整脈に対しては同時にメイズ手術という方法を行えばこれも抑え
られるかも知れません。